So-net無料ブログ作成
検索選択

東野圭吾が描く悪意:手紙 [小説]


手紙 (文春文庫)

手紙 (文春文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/10
  • メディア: 文庫


第129回直木賞の候補になった東野圭吾の傑作。
この作家は本当に人の悪意を描くのがうまい。

ストーリーは二人で暮らしてきた兄弟の、兄が強盗殺人で刑務所に収監され、娑婆に残された弟が、世間の差別・偏見に人生を翻弄されながら、人生を生きていくストーリー。
このようなストーリーで、単純な人道主義をとくのではなく、現実とそれに立ち向かう必要性をうまく示しながらも、独りよがりになっていないストーリー構成力は見事の一言である。

私は東野圭吾が優れている箇所は大きく三つあると思っている。
一つ目は、世間の悪意・差別といった、形のない恐ろしさを描くときの描写のうまさ。
二つ目は、人の人生を小説として描くことのうまさ。これは、他の人気作家と比べても、人の一生・半生を描かせたら東野圭吾が一番だと思う。
そして最後は、シニカルな笑いを描くうまさ。このスキルは本書には何の関係もないけど。

白夜行」や「殺人の門」と同様に、人の悪意と不運に翻弄される人生を十分に描ききった、東野圭吾のすばらしさが出た一冊である。

本書は、東野圭吾のファンならはずれが無いし、初めての人でも東野圭吾の実力が十分に発揮されていると言う意味でも十分にオススメできる小説である。

個人的にはラストが楽観的過ぎて筆者の小説にしてはらしくないと思ったが、逆にそれが他の小説と異なる持ち味になっているのであろう。

☆☆☆☆(☆四つ)




他のブログの反応はこちら等。
ある種ひどい小説なのに、酷評しているエントリは無く、感動や泣きを主張するエントリが多い。
筆者の力量が、明確に現れている小説である。
http://ameblo.jp/myfirstdiary/entry-10119439645.html
http://boonakamura.blog.shinobi.jp/Entry/299/
http://yaplog.jp/lilysdrawer/archive/153
http://diary.jp.aol.com/kzdjnkp/1046.html
http://take-t.cocolog-nifty.com/kasugai/2008/07/post_8bb3.html
http://plaza.rakuten.co.jp/kentbook/diary/200807080000


カスタム検索

nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(3) 

nice! 2

コメント 4

OKARE

初めて、コメントさせていただきます。
東野圭吾さんの本は、ほんと考えさせられるものが多いですよね。
なので、個人的には安易にドラマ化とかしてほしくないんですけどねぇ・・・
by OKARE (2008-07-28 23:36) 

mic

こんにちは。
わたしも「手紙」読みました。東野作品、ほんと不運な主人公、うまいですよね。かなり推敲されたと思われる簡潔な文章も好みです。
こちらの書評を読ませて頂いてから、久しぶりに高村薫作品が読みたくなって、「黄金を抱いて翔べ」、「リヴィエラを撃て」を引っ張りだして読み始めたところです。
また触発されに(?)うかがいます。

by mic (2008-07-29 17:31) 

tanishi

こんにちは(^^)
私も読みました。
何度も何度も「正義ってなーんだ?」と問うかのような展開にがっちりつかまれてしまいました。
そして私にはユミコの強さはないなあ・・と省みたのを覚えてます。
だけど、この人の存在だけが唯一「物語」っぽいなとも思ったりして☆

by tanishi (2008-07-31 13:11) 

book-sk

>OKAREさん
コメントありがとうございます。
安易なドラマ化はつらいですよね。原作読者だと特に・・・

>micさん
コメントありがとうございます。
不運な主人公なら東野圭吾ですよね。
高村薫は男性的な骨ばった作風が非常に好みです。
読みたい本はいっぱい出てきますよねぇ。

>tanishiさん
コメントありがとうございます。
ユミコの物語っぽいところが、この物語をただ重いだけじゃなく、面白い作品にしているのだと思います。
by book-sk (2008-07-31 21:28) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:

トラックバック 3

東野圭吾『手紙』(HIP図書室 2009-02-15 13:45)

手紙 (文春文庫)(2006/10)東野 圭吾商品詳細を見る (1)関連記事 東野圭吾が描く悪意:手紙 (2)評価(最低1点から最高5点までの5段階...

面白くはあるのだが:ゲームの名は誘拐(本読みの記録 2009-01-25 22:05)

ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)作者: 東野 圭吾出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/06/14メディア: 文庫 「g@me.」と言うタイトルで映像化もされた、東野圭吾の作品。 確かに面白くはあるのだが、東野圭吾の作品の中ではずば抜けたデキではない。

東野圭吾の「手紙」を読みました。(元いじめられっこの足跡 2008-07-28 23:46)

【今回読んだ本】 手紙 【著者】 東野圭吾 【僕が他に読んだ本】 「白夜行」「秘密 」「ガリレオ」「予知夢」「片想い」「幻夜」「宿命」「容疑者Xの献身」 【ジャンル】 ??? 手紙 (文春文庫)/東野 圭吾 【こんなあらすじ】 …[続く]

この記事のトラックバックURL:
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
メッセージを送る