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米国も問題がいっぱい:米国はどこで道を誤ったか―資本主義の魂を取り戻すための戦い [投資・マネー]


米国はどこで道を誤ったか―資本主義の魂を取り戻すための戦い

米国はどこで道を誤ったか―資本主義の魂を取り戻すための戦い

  • 作者: ジョン C.ボーグル
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2008/03
  • メディア: 単行本



私は日本の投資環境はまだまだ貧弱で、米国だと効率的な投資ができるのにと漠然と思っていた。
しかし、本書を読むと、米国の投資環境も問題に満ちあふれていることがわかる。後述するように、日本とあまり変わらないレベルで問題が山積していて、前途多難だ。

【目次】
資本主義と米国社会
第1部 株式会社アメリカ(株式会社アメリカはどこでおかしくなったのか?―「病的変異」 株式会社アメリカはなぜおかしくなったのか?―「権力者に見張りをつけろ」 ほか)
第2部 投資社会アメリカ(投資社会アメリカはどこでおかしくなったのか?―キングコングか、猿人ジョー・ヤングか 投資社会アメリカはなぜおかしくなったのか?―一時的な株価水準と長期的な本来価値 ほか)
第3部 ミューチュアルファンド・アメリカ(ミューチュアルファンド・アメリカはどこで間違ったのか?―管理者から商売人へ ミューチュアルファンド・アメリカはなぜおかしくなったのか?―「本来の道を見失う」 ほか)
第4部 結論(二一世紀の米国資本主義―「世界を一新する」)


まず、本書について一言断っておくと、日本語版の発売は2008年3月だが、原書の発売は2005年だ。つまり、サブプライムローンの問題については触れられておらず、主な問題として語られているのは、エンロン・ワールドコム等の不正会計問題や、ITバブル崩壊の問題だ。サブプライムローン問題について期待していると、期待はずれに終わることには注意してほしい。

本書は第1部で、CEOが不当に高い給金を取り、会計士・取締役会がそれを問題にすることなく黙認している問題を取り上げ、投資家(オーナー)の利益が経営者(マネージャ)に奪われていると主張する。そうした、オーナー社会から、マネージャ社会への変遷に対して警鐘を鳴らすとともに、オーナー社会への復帰の必要性を説く。

そして、第2部ではオーナー社会へ戻すために、経営者を監視する役目を機関投資家が負うべきだと主張する。ここで、著者のボーグルは日本の「系列」と同じように、米国でも機関投資家間での情実によって、実質的な持ち合いが発生し、経営者の暴走を止められなくなっていると皮肉る。

第3章では、米国のミューチュアルファンド(投資信託)の問題点を主張する。ここでの主張はインデックスファンドで有名なバンガードグループの創設者である筆者らしく、ファンドマネージャが高い給料を取りすぎることにより、ファンドの経費がかかりすぎていることを批判する。経費と利益は比例しないという今や常識となったことも併せて主張している。
さらに、ファンドの買い換えによって投資家が利益を失っていることを各種データから説明し、長期買い持ち戦略の優位性を説く。


私が本書でおもしろいと思ったのは、第1章に出てくる、経営者が高い給料を取りすぎるのは、コストとして会社を圧迫しているという論調。ファンドにおいて、経費が高すぎるのはリターンを阻害する要因になることはよく見かける主張だが、会社の経営においても同じことが言われるのは初めて目にした。

確かに、経営者を見回してみても、高い給料に見合った有名経営者といえる人は歴史上を見ても数少ない。ものすごく優秀な経営者に高額の給与を払うぐらいなら、そこそこの経営者に経営者としては低額の給与を払う方が投資家にとってはいい結果が出る可能性があるというのは、初めて見る意見で、一定の説得力を持っているように思える。
こう考えると、経営者にたいした給料を払っていなかった高度成長期の日本は意外と正しい選択をしていたのかもしれない。

第2章のマネージャによる不当な報酬によって投資家が害されているという主張は、「資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす」でも同じ内容が主張されていた。楽天証券の山崎元氏も同じような主張を多く語っていることからも分かるように、証券業界では一定程度共有されている危機感でありながら、是正されない問題なのだろう。

この問題を是正するために、機関投資家が強く監視するべきだという主張は一定程度の納得感がある。しかし、現実にそうした方向に動くには国の指導が必要であろう。自主的にそういった方向に動こうと促す筆者の主張はやや楽観的に過ぎるように思える。

日本においても、新しくできる消費者庁は、意味のない賞味期限の問題なんかより、こういった問題にこそ指導力を発揮してほしい。日本の消費者が大きな不利益を被っているのは、投信・保険・不動産なのだろうから。

最後に、本書で述べられている米国のインデックスファンドの経費率は約0.2%~0.3%とのこと。日本のインデックスファンドは約0.6%(国内株式)~約1%(海外株式)なので、その点では米国の方が圧倒的に恵まれている。この点について、日本の投資会社は早く投資家のことを考えたインデックスファンドを開発してほしい。

☆☆☆★(☆三つ半)

参考:
サブプライムローン問題後に、世界経済の問題を描き出した「資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす」のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-10-09


他のBlogの反応はこちら等。
http://ameblo.jp/asongotoh/entry-10162365607.html
http://fundfundfund.blog44.fc2.com/blog-entry-209.html
http://lazy-portfolio.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_b79c.html
http://renny.jugem.jp/?eid=785
http://blogs.yahoo.co.jp/shoma292002/35124580.html
http://blog.goo.ne.jp/harunakamura/e/e8029832c2b4aa7731899160c0af1e91

この手の本らしく、書評Blogよりも、投資Blogに多くエントリが見つかりました。皆さん本書については高評価のようです。








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