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死ねと言われれば、死ぬのです。:服従の心理 [心理学]


服従の心理

服従の心理

  • 作者: スタンレー ミルグラム
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2008/11/19
  • メディア: 単行本



人間が自分の良心や社会的な規範と対立してまでも、権威に服従する過程の実験を記したのが本書。
本書の内容はある種衝撃的で、ある種常識的である。
ただし、この本の内容は是非知っておいた方が良い。

なお、上記Amazonは在庫の関係で新訳版を載せたが、私が読んだのは旧版である。
新訳版は山形浩生が翻訳しているので、そちらの方がおもしろいだろうと個人的には思う。

【目次】
1 服従のジレンマ
2 検討方法
3 予想される行動
4 被害者との近接性
5 権威に直面した個人
6 さらなる変種やコントロール
7 権威に直面した個人 その2
8 役割の入れ替え
9 集団効果
10 なぜ服従するのかの分析
11 服従のプロセス 分析を実験に適用する
12 緊張と非服従
13 別の理論 攻撃性がカギなのだろうか?
14 手法上の問題
15 エピローグ
補遺1 研究における倫理の問題
補遺2 個人間のパターン
原註/参考文献


実験に参加した人は、苦しむ被験者役に対して、電気ショックを流すことを実験主催者から求められる。
電気ショックは段階的に強くすることを求められ、被験者役はますます苦しみを訴える。

実は、この被験者は実験主催者とグルになった一種の役者で、電気は流れておらず、苦しみを訴える演技を行っているのだ。ただし、演技は迫真のもので、実験参加者は電気を流されている人が死ぬのではないかと思ってしまう。
そうした必死の苦しみを訴えられているにもかかわらず、実験主催者という「権威」からは電気を流すことを要求される。
このときに、人はどれだけ実験主催者という「権威」に反抗して、自らの良心や社会的規範に従うことができるのか?

この実験を通じて明らかになる人間の権威に対する服従が本書のメインテーマである。


これまでの所を読んで、どの程度の割合の人間が服従したと思うだろうか?
本書を未読の人の楽しみを奪わないように詳細な割合は伏せるが、結果は衝撃的なものになるであろう。人間は、ちょっとやそっとの障害では「権威」に対して服従することをやめないのだ。

本書は戦後間もない時期の実験だが、本書で明らかになった事実は現代にも生きている。
雪印やミートホープなど食品偽装はなかなか明らかにならなかったが、何故内部の職員は偽装の命令を拒めなかったのか?社会保険庁ではデタラメな年金管理が行われ、しかも、その悪行を隠そうとしていたが、一国民としてそうした年金管理に反逆する職員はいなかったのか?
こうした問題が発覚する度にマスコミは正義をわめき立てて組織が腐っていると批判する。
しかし、そうした批判は正しくない。本書を読めば明らかになるが、人間は基本的に組織の方針に反抗することはできないのだ。

組織の問題を末端の職員の良心で正すことはできない。組織の問題は複数の権威でもってチェックする仕組みを構築しておかなくては是正することはできないのだ。


本書の内容を知らないと、「正しい」ことを信じるあまりに、組織の権威に反抗して周囲から浮き上がってしまうことはよくあると思う。
上司が推進する明らかにおかしな案件に反対の声を上げたが、誰も続いてくれずに、結局自分が左遷されてしまったサラリーマンの事例など珍しくもないだろう。
そうしたケースで、何故理不尽な結果をみんなで選んでしまうのかは本書を読めば理解できる。


子供の喧嘩や、子供を諭すときに「死ねって言ったら死ぬのかよ」と言うのを聞いたことがある人は多いだろう。本書の結論を極論にすると、「死ねって言われたら、死ぬ」人は思っているよりはるかに多いのだ。

これは決して詭弁ではなく、政治家の秘書とか、大事件を起こした企業の重役があっさり死ぬのも、殺されたケースもあるだろうが、「権威」からの命令で命を絶っているケースも多いのではないだろうか。

☆☆☆☆(☆四つ)


他のBlogのエントリはこちら等。
http://d.hatena.ne.jp/kashiwabanoura/20081219/1229652511
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20081118
http://d.hatena.ne.jp/doukaku/20081123/p1
http://d.hatena.ne.jp/yomoyomo/20081110/fukuju
http://urag.exblog.jp/7662812
http://d.hatena.ne.jp/yagian/20080320/1205960721

「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」さんも書いておられます。
http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2008/12/post-99ac.html

こうした他のBlogにおけるエントリを読んでいると、新訳版も是非読んでみたくなって困ります。







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