それでも自己責任は支持される:貧困大国ニッポン―2割の日本人が年収200万円以下 [社会]

貧困大国ニッポン―2割の日本人が年収200万円以下 (宝島社新書 273)
- 作者: 門倉貴史+賃金クライシス取材班
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2008/06/07
- メディア: 新書
門倉貴史お得意の貧困ネタ。
日本にある貧困事例が豊富に取り上げられており、身につまされること間違いなし。
ただ、日本の貧困が放置される理由はなかなか難しい。
【目次】
第1章 誰も語れなかったワーキングプア
第2章 「貧困家庭」崖っぷちのサバイバル
第3章 結婚できない“名ばかり”正社員たち
第4章 犯罪から抜けられない闇職系若者
第5章 貧乏老人がたどる悲惨な末路
第6章 貧困は本当に自己責任なのか?
今の日本に存在する貧困のオンパレード。
貧困の原因としては、新自由主義が悪いとか、世代間格差が悪いとか、硬直した労働制度が悪いとか色々と言われているが、本書で語られる圧倒的な貧困を目にすると、「原因よりも救済を」と思うこと間違いなしだ。
本書の主張もまさにそこにある。
第6章のタイトルが、「貧困は本当に自己責任なのか?」とあるように、自己責任論に懐疑的な立場を明確にしている。
仮に、タバコ代のような無駄遣いをしているワーキングプアでも、年金を払ってこなかった無年金老人でも、養う当てもなく子供を産んだシングルマザーでも、貧困からは救済されるべきであり、そうした救済は社会保障費の減少や治安の改善という形で社会に還元されると、筆者は説く。
それでも、日本では自己責任論が主流であり続けるのではないだろうか?
確かに、助け合いを主張する意見は増えているが、それでもニート・無年金老人・自分勝手な生き方をしてきた手に職のない中年を助けるために、消費税が20%になったり、年金が減額されたり、健康保険料が増額されるとなると、多くの人は反対するように思われる。
現在の状況で助け合いを主張する人は、大企業から税金を取れとか、金持ちに課税しろと言った非現実的・共産主義的発想が多いように思われる。
政治家の多くは日本人はアメリカ人と違って、高福祉・高負担を求めるという人が多いが、私にはとてもそうは思えない。自分の稼いだお金、今まで貯めた財産を、自堕落なところのある人に回すことはいやがる人が多数であるように思う。
本書の次に読んでいる本は、「子どもの貧困―日本の不公平を考える」なのだが、ますます上記の仮説に自信を持つようになってしまった。
助け合い社会と自己責任社会。どっちが良いとは一概に言えないが、日本が選ぼうとしているのは後者の道なのではないだろうか。
実話系漫画のようなセンセーショナルな話題も楽しめるが、日本の行く末も考えることのできる意外と深いところのある本である。
☆☆☆★(☆三つ半)
他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://blogs.yomiuri.co.jp/book/2008/11/post-6f94.html
http://minamiya.livedoor.biz/archives/51671951.html
http://blog.goo.ne.jp/aoitoko/e/0fd2957e7ac1afd65020fb34c0121f39
http://www.momoti.com/blog2/2008/08/_2200.php
(微妙な評価のエントリ)
http://konikoscafe.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_90f0.html
http://electricsheep.cocolog-nifty.com/what_made_of_electricshee/2008/08/post_e99f.html
http://ueshin.blog60.fc2.com/blog-entry-1169.html
迫力のあるレポートに対して、何人かが書いているように最後の提言部分は若干お粗末だ。
それでも、本書のレポートは一見の価値がある。
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>> 現在の状況で助け合いを主張する人は、大企業から税金を取れとか、金持ちに課税しろと言った非現実的・共産主義的発想が多いように思われる。<<
これは従来の硬直した思考と感じます。
アメリカでさえも、オバマ大統領が、議会に対する施政方針演説で「米国の2%の最富裕層への優遇税制を取りやめる」、「(景気刺激策等で)95%の勤労世帯が減税される」と言っています。
また、日本では軍事費の見直しも聖域とすべきでは無いでしょう。
by NO NAME (2009-05-27 00:19)
上のコメントのような現実を見ない共産主義的考えがはびこっているから、まともな社会保障についての議論が進まないんだろうな……
>軍事費見直し
日本の軍事費(=防衛費)は約5兆円、社会保障費は約25兆円。
防衛費を思い切って半減しても、社会保障費は10%しか増やせません。
しかも、ミサイル防衛が防衛費から出ている関係で、実質的に従来型の防衛費は削減に近い状態になっているのに。
>米国の富裕層優遇税制取りやめ
これはマスコミも悪いけど、正しくはタックスヘイブン規制です。タックスヘイブンを使えるのは富裕層だけだから、結果として富裕層に対する課税強化になるけど、「金持ちから取って貧乏人に回す」ことを第一義とした政策ではない。
>勤労世帯減税
景気刺激なんだから、日本の定額給付金と同じ。減税か給付金かだけの違いでしかない。
硬直しているのは上のような意見を書く左翼の方であり、現実にあった社会保障のあり方について議論しなければならないときには回想対立的なものの見方は捨てるべきだ。
by book-sk (2009-06-03 23:20)