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結婚を通じた日本社会の行く末:「婚活」現象の社会学 日本の配偶者選択のいま [社会]


「婚活」現象の社会学 日本の配偶者選択のいま

「婚活」現象の社会学 日本の配偶者選択のいま

  • 作者: 山田 昌弘
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2010/06/11
  • メディア: 単行本



「婚活」の名付け親で、ブームを呼び起こした山田昌弘がブームを経た今、改めて結婚について書いた一冊。
雨後の竹の子のように出てきた「婚活」本と違い、非常にまじめで、結婚を通じて日本の行く末を良く考えた作りになっている。

【目次】
序――「婚活」現象の広がりの中で
第1章 「婚活」現象の裏側
第2章 若者の交際と結婚活動の実態
    ――全国調査からの分析
第3章 結婚仲人の語りから見た「婚活」
第4章 自治体による結婚支援事業の実態
    ――そのメリットとデメリット
第5章 婚活ブームの二つの波
    ――ロマンティック・ラブの終焉
第6章 誤解された「婚活」――婚活ブームを検証する
第7章 アメリカ社会から見た現代日本の「婚活」
終 章 積み過ぎた結婚――日本の結婚の今後


筆者が「婚活」で重要とすることはただ一つ。
特に女性が、結婚によって一人で稼ぐ世帯を形成することを期待せず、二人で稼いで二人で家事をする家庭を築くことを目的にすること
所謂、昭和的家族観からの脱却。ただそれだけで、結婚することは大いに簡単になるのだ。

ところが、当初からその主張をしていた筆者の思いとは何故かかけ離れて、「婚活」とは女性が自分を専業主婦として養ってくれる男性結婚相手を探すことになってしまっている。
何故こうしたくい違いが起こってしまったのか?
そして、歪んだ「婚活」によって行き着く、日本の結婚像の未来はどうなるのか?
といったことを非常にまじめに、ややアカデミックに解説している。


特に、歪んだ「婚活」によって行き着く、日本の結婚像については非常に興味深い。
筆者曰く、結婚に”愛情”と”経済力”の両方を求めるのは、もはや社会情勢が許さない
経済力もあって、若く、コミュニケーション能力のある男性は数%の狭き門なので、女性の側が両方を追いかけている内は、結婚率は低下の一途をたどらざるを得ない。
では”愛情”と”経済力”どちらを諦めるのだろうか?

”経済力”を諦めるルートは筆者のお薦め。米国などもこのパターンだ。
日本の女性がこのルートを選べば、共働き前提で、本当に好きな人と結婚することが出来る。
手に手を取って苦難を乗り越えていく家庭を目指すことになるので、私などから見ても自然なルートに見える。

逆に”愛情”を諦めるルートもある。中国などはこのパターンに近いらしい。
この場合は、20代の女性が、40代でも50代でも良いのでとにかく経済力のある男性と結婚する。
愛情は無くとも、経済的に家庭を支えてくれればOKと割り切る。
マスコミなどが歪めた「婚活」によって行き着く先はここかもしれない。金によって結びつく家庭が築かれるのだ。

では、”愛情”、”経済力”の両方を欲張ったまま手放さなければどうなるか?
女性は両方を満たす男性を見つけることが出来ず、男性もどうせ結婚できない(しても良いことがない)と諦める今のネットで誇張されている状況が現実になるだけだ。
少子化は進行し、日本の人口面から見たプレゼンスは失われていくのだろう?

この中で、どういうルートを進んでいくかは非常に興味深い。


本書は、日本の結婚に関する一冊を薦めるならば、間違いなくこの一冊を薦めるという出来の良さである。
このテーマに興味がある人は、是非手に取ってみて欲しい。

☆☆☆☆(☆四つ)

他のBlogの反応はこちら
http://ameblo.jp/keiseisaimin/entry-10619564755.html
http://kia357.blog125.fc2.com/blog-entry-174.html
http://atamanisutto.livedoor.biz/archives/51501599.html
比較的高評価。
本書は悪くないのに、類書が多くてエントリが少ないのが残念。

そして、上記サイトはともかく、本書の書名で検索したエントリを読んでいると、「婚活」が山田教授の意図したとおりに使われるようになることは無いように思われます。
そういう意味では、結構絶望的ですな。





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コメント 2

Kiankou

トラックバックありがとうございます。

なかなか難しい問題ですね。

女性を優遇するフランスでも、労働で得られる賃金は女性の方が低いし、家事全般は女性に負担がかかります(ご参考 NYtimes記事 http://nyti.ms/ag74yh)。このため、女性が男性に"経済力"を諦めるのは簡単ではありません。男性の意識、社会のしくみが同時に変わる必要があると私は思います。

by Kiankou (2010-10-20 09:36) 

book-sk

>Kiankouさん
コメントありがとうございます。

確かになかなか難しい問題ですよね。
女性の収入が低いのも、鶏が先か卵が先かという面もありそうですし……。

社会全体が変わっていくか、このままじり貧になるか、どっちにしてもきつい点が多そうです。
by book-sk (2010-10-20 22:33) 

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