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親になるべきではないが、親であろうとして全力をつくす人々:出会い系のシングルマザーたち―欲望と貧困のはざまで [社会]


出会い系のシングルマザーたち―欲望と貧困のはざまで

出会い系のシングルマザーたち―欲望と貧困のはざまで

  • 作者: 鈴木 大介
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2010/03
  • メディア: 単行本



携帯電話の出会い系サイトで、シングルマザーを探して、インタビューした結果をまとめた一冊。
時間と手間を欠けているのがわかる力作である。

【目次】
第1章 売春に至る凋落
第2章 売春婦にもなれず
第3章 絶対的に持たざる者
第4章 残酷な類型化
第5章 福祉を「拒絶」する母
第6章 出会い系での売春事情
第7章 隠れ破綻と不正受給
第8章 欲望と貧困のはざまで
第9章 母


本書を通じて伝わってくるのは、筆者の戸惑いだ。
明らかに、母親になるには向いていない人々。
出会い系で稼いで子育てをするという思想は根本から間違えているし、子どもの環境も劣悪な部類に入る。
それでも、子供のことを思う気持ちだけは人一倍。
筆者はこうしたシングルマザーたちに、どういう事ができるのかに悩み、結論を出せない戸惑いを本書で吐露している。

そして、私も同じ気持になった。
生活保護のような公的扶助によって、生活を改善すれば、子どもの環境は明らかに良くなる。
だが、本人たちがそれをよしとないし、生活保護を受けないために必死の(間違った方向への)努力をしている。
では、子供を施設に入れて、そこで教育すればよいかというと、それも本人は拒否する。
つまり、公から差し伸べられるすべての手を拒否し、無理で間違えた方向への努力をもって全力で突っ走る。
こんな人達をどうすればいいのか。親になるべきでない人が親になってしまった。という言葉でまとめるのは簡単だが、時間の針を戻せない以上、どうすればいいのか。私の中に答えはない。

蛇足ながら、私の考えた中で一番答えに近いのは、精神科医やカウンセラーといった人々の活用だと思う。
本書に出てくる人たちは、努力はできるのに、社会や他者への認識が世間標準から大きくズレてしまっているがゆえに、間違えた方向への全力疾走に繋がってしまっている。
この場合、本人の認識を変えなければ、子どもの環境がよくなることはないのだから、そこに働き掛ける必要がある。
そして、本書の登場人物には”教育”よりも”治療”の方がふさわしいと思えるのだ。

非情な現実と、生々しい底辺の生活。
それに対する救いの無さと合わせて、日本の貧困を考える優れた素材。
興味のある人はタイトルから敬遠せずに、ぜひ読んでみてほしい。

☆☆☆☆(☆四つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://mmaehara.blog56.fc2.com/blog-entry-1919.html
http://d.hatena.ne.jp/he8/20100919/1284879319
http://d.hatena.ne.jp/narushisu/20100904/1283605757
http://d.hatena.ne.jp/tyokorata/20110427/1303987026
http://d.hatena.ne.jp/tsumiyama/20100802/p1
http://blog.peachcare.jp/?eid=1141049
共産主義のようなバリバリの左派も、自由主義的言論を好む右派もみんなが絶賛。
本書で提起される問題は、イデオロギーでは解決できない。
特効薬と思われる好景気はもはや不可能だろうから、問題解決は不可能にも思える。
こういう問題を解決できる官僚・政治家がいれば本当に尊敬するのだが……





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