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登場人物に重きをおいた冒険小説:天平グレート・ジャーニー─遣唐使・平群広成の数奇な冒険 [小説]


天平グレート・ジャーニー─遣唐使・平群広成の数奇な冒険

天平グレート・ジャーニー─遣唐使・平群広成の数奇な冒険

  • 作者: 上野 誠
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/21
  • メディア: 単行本



遣唐使の大冒険。
と書くと、ついに日本に戻ることのできなかった阿倍仲麻呂や光を失った末になんとか日本に辿りつた鑑真が有名。だが、そもそも、古代の造船技術で日本海を横断するのはそもそも、自殺行為なのだ。
北朝鮮が崩壊したら、日本海を超えてくるボートピープルがいっぱい出るだだろうけど、そんな無謀なんて目じゃない命知らずの挑戦が国家的大事業として行われていたのだ。

というわけで、本書の主人公の平群広成もとんでもない大冒険の末に、大和(平城京)と長安の間を往復している。

平群広成のたどったルートは、ネタバレになるのでバラさないが(あえて、目次も載せないことにする)、複数の国をまたがった行動を余儀なくされ、命の危険を感じることが多々ありながら、なんとか日本に帰ってきている。

この冒険が難しいのは、ただ帰ってくるだけでは何の功績にもならない(むしろ処罰されかねない)。諸外国と友好を結び、その結果として国家使節に相応しいものを持ち帰らねばならないところ。現に、遣唐使の大使は下道(吉備)真備という大学者を連れて帰っているし、唐の皇帝からの下賜品をしっかり持って帰って出世している。
そうした無理ゲーとも言える難易度を誇る冒険の中で、平群広成はどうやって危機を乗り越えるのか。昔ながらの冒険譚のようにハラハラ・ドキドキしながら読み進めてしまう。

更に、当時は超巨大国家の唐とその衛星国である日本・新羅・渤海・林邑と言った国々が外交戦を繰り広げており、仲の悪い国々は戦争間近の一触即発の状態だし、唐に対しては礼儀と見えを尽くさなくてはならないしで、複雑怪奇な国家関係をうまくさばいていくことも求められている。
本書に出てくる遣唐使は今の外務官僚より、大きな志と裁量を持って、苦しい外交戦を闘いぬいているのだ。

上記のようないろいろの要素に加え、登場人物の業、出世・実利などもからみ合って、本書は素晴らしい作品に仕上がっている。
登場する有名人物である阿倍仲麻呂・吉備真備と言った人々が世間のイメージと異なって描かれていることもあり、冒険・人間・歴史・国家戦略のあらゆる方向から楽しむことの出来る素晴らしい一冊である。

☆☆☆☆★(☆4つ半)

他のBlogの反応はこちら。
http://blog.livedoor.jp/haute_contre/archives/51770203.html
http://blog.goo.ne.jp/akatsukian/e/10d94c93677edf9e47712d1cc388c12c
http://warren.jugem.jp/?eid=3183
http://economist.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-dc35.html
http://tatunoko974.blog.fc2.com/blog-entry-79.html
http://jinsemu.jugem.jp/?eid=137

日本人は外交オンチと海外進出を繰り返している民族ですが、本書は外交オンチから海外進出への転換点をえがいている。歴史って本当に繰り返しているような感覚を植え付けますよね……。






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