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日本から大企業は存在しなくなるかも。:企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔 [社会]


企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔 (アスキー新書)

企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔 (アスキー新書)

  • 作者: 松井博
  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2013/02/12
  • メディア: 新書



元アップル社幹部の筆者が、世界的大企業の現状と、今後の見通しについて述べた一冊。
世界的企業のパワー、仕事のあり方、将来の経済像など得られるものが多い一方で、ドメスティックな企業に務める私としては、非常に危機感が煽られる一冊であった。

【目次】
第1章 アップルはどうやって帝国化したのか
 アップルを退職して見えたこと
 「私設帝国」とはなんなのか?
 「私設帝国」とはなんなのか?
 私が体験したアップルの帝国化
 iTunes、委託生産、アップルストア
 顧客を囲い込む仕組み
 デベロッパーの囲い込み
 人材の変化

第2章 帝国の仕組み
 もしもアップルがマクドナルドだったら
 得意分野への集中
 本社で「仕組み」を創り、それを世界中に展開
 小さな本社機能
 徹底した外部委託
 最適な土地で最適な業務を遂行
 社内システムの徹底した自動化

第3章 帝国で働く人々
 人材のグローバル化
 国家に帰属しない企業
 世界中から「仕組みが創れる」人材を獲得
 仕事好きであること
 高学歴は当たり前
 要求される英語
 高い専門性
 あらゆるレベルでの創造性
 ローカルな視点
 多文化を受け入れる柔軟性
 コミュニケーション能力
 経営者はなにをするのか?
 弱肉強食の競争社会

第4章 食を司る帝国たち
 マクドナルドが外食を変えた
 食肉生産の工業化
 牧畜もまた工業化された
 増え続ける肥満
 低下し続けてきた食糧の値段
 O―157はどこからやってくるのか
 発育への影響
 餌付けされる社会的弱者
 ある養鶏業者の反乱
 精肉業を支える違法移民
 食の安全は誰が守るのか?
 穀物の種子を独占するモンサント

第5章 個人情報は誰のものか?
 デジタルライフ創成期
 グーグルのサービス群
 中毒になるアップルのサービス
 紙の本を超える? 電子書籍
 あなたはグーグルの客なのか?
 あなたのデータの使用権
 グーグルがあなたを所有するとき
 電子書籍は誰のものか?
 閲覧履歴の把握
 広告ネットワークを活用した行動分析
 サイト閲覧情報の収集を垣間見る
 行動追跡情報のオークション
 グーグルが使っているあなたのプロフィール
 個人情報は商品か? プライバシーか?

第6章 政府を超える企業たち
 アップルは税金を支払っているのか?
 アマゾンの場合
 グーグルが及ぼす米国議会への影響

第7章 石油依存
 世界最大の石油消費国、アメリカ
 原油価格の高騰は何を招くのか
 石油はどこで誰が掘る?
 悪魔の排泄物
 資源の呪い
 かつては奴隷、いまは石油
 蝕まれるナイジェリア
 破壊されるニジェール川デルタ地帯
 チャドの平均寿命
 コストをとるか、安全をとるか?
 石油基地は誰が守るのか?
 地球温暖化懐疑説は誰が唱えているのか?

第8章 帝国の末端は本当に不幸なのか?
 自殺防止ネット
 連鎖する自殺
 民工たちは不幸なのか?
 移住する女性たちの心情
 民工の仕事、暮らし
 自分の運命は自分で決める
 希望の行方

第9章 帝国と付き合う
 イメージを気にする帝国
 アップルだって謝罪する
 ピンクスライム事件
 情報を得る
 ロビー活動の動向を知る

第10章 ではどうすればいいのか?
 Winner Takes All(勝者総取り)の時代
 階層間の移動は可能なのか?
 消えゆく国家間の教育格差
 ロボットが仕事を奪う
 減り続ける中間層の仕事
 もはや当てにならない国家
 さらに厳しい日本の状況
 日本を見限る日本企業
 天は自ら助くる者を助く
 創造性を養う
 専門的な技能を身に付ける
 就職後も勉強を続ける
 外国語を習得する
 技能や語学の習得に必要なのは「根気」
 コンピューターを「使う」側になる
 プレゼンや議論は当たり前のスキルになる
 海外に流出しない仕事に就く
 ネットを使ってマーケットを広げる
 移住をひとつのオプションとして考える
 持ち家が自由を奪う
 自分を高めてくれる環境に身を置く
 新興国に2年ほど住んでみる
 自分のビジネスを始める
 仲間をつくる
 評判をメンテする


本書は、世界的企業の現実を赤裸々に描いている。
例えば、マクドナルド(と、その第一の供給業者であるタイソン・フーズ)は食品業界を工業化して牛や鶏を”工場”と化した牧場で育て、世界中の人に安くて高カロリーな食事を届けることに成功している。
”工場”では最大限に効率化するために、牛や鶏は添加物や抗生物質をたっぷり使って脂肪がいっぱい付くように育てられている。最終消費者の健康にはよろしくないが、世界的企業は顧客の健康などには頓着しない。最終消費者はお金を運んでくる奴隷レベルの扱いだ。

本書で他に取り上げられているアップル、エクソン・モービル、Google、モンサント。どれも大差なく、儲けるためにえげつない手を使って最大限の努力をしている。

筆者はそうした大企業の姿勢が消費者にプラスだけではないことを明らかにしつつも、(左翼活動家のようにそれを批判するのではなく)変えられない前提にたって、その中でどう振舞うべきかを述べている。この姿勢は現実に即しており、非常に好感が持てる。

筆者は帝国化した大企業から、消費者として自分を守る方法や、大企業が拡大する中で自分の雇用を守る方法などを自分の経験から語っている。特に、仕事に関しては示唆に富む内容が多く、働いて富を得る人が心得ておくべき内容が盛りだくさんに盛り込まれている。

筆者の見立てが正しければ、現在存在するような「日本に根ざした大企業」は遠からず淘汰されていく。近い将来には「世界的大企業」と「その他」しかなくなる未来が必ずやってくる。
その中で、どちらの側に立って労働による富を得るのか。どちらに立つにせよ、それなりの物を得ようとするならば苦難の道である。が、否応なく選ばざるをえない日は必ずやってくる。それにどう備えるかが、本書を読んで整理するべき内容なのだろう。

☆☆☆☆☆(☆5つ。満点)
http://d.hatena.ne.jp/nakorake/20130320/1363767166
http://d.hatena.ne.jp/Takeuchi-Lab/20130216/1360979567
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20130503/p3
http://otona-no-nitijyou.seesaa.net/article/347994001.html
http://blog.livedoor.jp/tkfire85/archives/55565657.html
http://eigotoranoana.blog57.fc2.com/blog-entry-55.html
http://d.hatena.ne.jp/kinneko/20130527/p58

高評価のエントリ多し。最近の乱造気味の新書の中では、キラリと光る一冊だと思います。






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