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あの時の失敗は繰り返されそうな気がする:検証経済失政―誰が、何を、なぜ間違えたか [経済]


検証経済失政―誰が、何を、なぜ間違えたか

検証経済失政―誰が、何を、なぜ間違えたか




1990年代末の経済失速はなぜ引き起こされたのか?をテーマに新聞記者の筆者たちが取材によって完成させたのが本書。
新聞記者の書なので、学問的な振り返りや分析はあまりないのだが、当事者たちがどのように考えて破滅への途を突っ走ってしまったのかがよく分かる

【目次】
第一章 予兆―危機への認識がなぜ薄かったのか―
 1996年11月・大蔵省―暗転する新大臣の決意
 1997年1月・首相官邸―財政構造改革会議始まる
 1997年2月・ベルリン―くすぶる対日批判
 1997年2月・国会―大手二十行は潰さない
第二章 舵は誰の手に―なぜ増税と財政構造改革を一度にやろうとしたのか
 財政再建路線の選択
 ムードで決まった特別減税廃止
 「えっ、九兆円?」
第三章 屈折点へ―経済政策をめぐる政治力学
 総理の野望
 副大統領への反論
 ケインジアンを掃討せよ
 ロッキード事件の影
第四章 坂道を転げるように―金融行政はなぜ行き詰まったのか
 三洋証券の落とし穴
 銀行局の苦悶
 悪魔のシナリオ
第五章 破綻、そして敗北―なぜ金融機関は相次いで崩壊したのか
 失われた神通力
 金融恐慌の淵
 ハシモトのお詫び
 公的資金決断!
 政策は転換された
エピローグにかえて―経済政策の司令塔を求めて


本書で出てくる主なプレーヤーは大蔵省、日銀、経済企画庁、自民党主流派(橋本総理、三塚蔵相、加藤幹事長、山崎政調会長等)、自民党反主流派(梶山元官房長官等)。それぞれの立場で、「こうやりたいけど仕方ない」という思いを積み重ねているうちに、選択の幅が狭くなり最悪のケースを避けられなくなってしまう。

確かに、本書の登場人物で(2014年時点での結果論から見た)最善策を取ろうとしていた人は居ない。そういう意味で日本のトップに経済学の知識・見識がかけていたのは事実だろう。
だが、それにもまして、一般人から見ると意味の分からない「政治の世界のルール」で選択肢を狭めているのが非常に気にかかる

一部の専門家しかチェックしていないような細部の表現の整合性にこだわって真実を告げることができなかった経企庁。政策転換という批判を受けることを恐れて経済が悪化するに任せていた橋本総理。行政改革で権限を縮小される手がかりを与えまいとして、必要な政策を上申できなかった大蔵省……。
新聞記者の筆者を含め、インナーサークルの人々の間ではそれなりに合理的な決断だったのだろうが、外部の人間から見るとその決断を縛った前提条件は理解しづらい。

どういう思考で経済失速という最悪のケースがもたらされたのかがよく分かる一冊。政治的な読み物としても面白い。
問題は、本書と同じようなことが2014年にも起こりそうで怖いという点だけだろうか……。

☆☆☆☆(☆四つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://pu-u-san.at.webry.info/200812/article_48.html
http://blog.goo.ne.jp/yama440607/e/4778f106d01dd5b8baa49092ceed0d20?fm=rss

経済不況を曲がりなりにも終わらせたのが、本書には1~2行しか名前の出てこない小泉純一郎であったことを考えると、内輪の縮こまった思考では超えられないたぐいの問題なのだろう。ますます持って、今年・来年あたりは心配だ。
(ちなみに、本書の登場人物で正解に親しい見識を持っていたのは政治家では宮沢喜一、官僚では日銀の本間理事であるように見える。)






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