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古き大阪の商人:花のれん [小説]


花のれん (新潮文庫)

花のれん (新潮文庫)

  • 作者: 山崎 豊子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1961/08
  • メディア: 文庫



山崎豊子の直木賞受賞作。
大阪・船場の呉服屋の未亡人から、大阪一の寄席の経営者になる主人公を通じて、大阪の古き良き商人像が描かれている。

本書のストーリー

主人公の多加は大阪・船場の呉服屋に嫁ぐが、夫が芸人道楽にはまって店をつぶしてしまう。多加の勧めで道楽を本業にするために、寄席の経営を始めるが、軌道に乗ったところで、今度は女道楽が始まり、愛人宅で腹上死してしまう。
失意の多加は、葬儀の席上で2度と他の男に嫁がないと言う決意を意味する白い喪服を着て、商売を生き甲斐にすることを決心し、関西一の寄席・花菱亭を築き上げる。


本書の見所は、主人公の多加が大阪の商人として、あらゆる努力をし、一流の寄席を築き上げるところにある。
現在大阪の商人と言うと、そのイメージとして「ナニワ金融道」の様なえげつない商人をイメージする人が多いかもしれない。

しかし、本書の多加は借金金利を少しでも安く上げるために黄金持ちの老人と仲良くなる。無名の寄席に名人を出演させるために、汚い公衆便所に隠れて師匠たちが通りかかると偶然を装って声をかけ、祝儀を渡す。といった、まっとうな努力を地道に続けて、自分も儲かる、お客様も楽しめる、芸人たちにも喜んでもらえると言うwin-winの関係を築き上げる。大阪が商都としての名残をもっていた時代の、古き良き商人である。

また、主人公は大きなもうけを得るために、多額の借金をしたり、一か八かの事業に多額の投資をしたりする。その代表的な例は通天閣を大きな借金で買い取るシーンだ。大きな商いを成功させるために、大きなリスクを取る。こうしたことが自分ではできないと思えるからこそ、本書の主人公のすごみが浮き上がる。


本書には、主人公の多加以外にも、エンタツ・アチャコや春団治と言った大正~昭和の有名芸人も実名で登場しており、当時の歴史・風俗もうまく描かれているので、歴史小説としての楽しみ方も可能である。


しかし、大正時代の大阪が本書で、平成の大阪が「悪果」だとするならば、我が故郷大阪は確実に衰退していると言えよう。残念だけど……。

☆☆☆☆(☆四つ)

参考:現代の大阪を舞台にした、大阪弁たっぷりの小説「悪果」のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-12-26

他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://ameblo.jp/fruitjam/entry-10059806102.html
http://utagiku.jugem.cc/?eid=286
http://blogs.yahoo.co.jp/rikirikimama/27651892.html
http://tanyunagi.cocolog-nifty.com/yunagiblog/2007/02/post_0000.html

本書の主人公は吉本興業の社長がモデルとも言われている。
その生き方のすごさ、それ故に犠牲にしたものに対して、それぞれの人が自分の思いを書いている。







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